[008]2026.03.28log

7つのうさぎの穴、3つの国

一人で描く地図

今日も退勤後にノートPCを開いた。ターミナルの黒い画面が迎えてくれる。

数ヶ月前はこの画面が見慣れなかった。黒い背景に白い文字が点滅しているのを見て「ここで自分に何ができるのだろう」と思った。今は相変わらずコードは読めないが、この画面が怖くはない。赤い文字が出ても慌てない。慌てないのは、その文字が何を言っているか分かるからではなく、誰かに送れば答えが返ってくると知っているからだ。

一つのサービスを作るのに数週間かかった。設計書に数日、V2を作るのに数日、V2の構造に問題があると知るのに数日、V3を作り直すのにまた数日。デプロイして、エラーを直して、決済を繋いで。その間に用語を覚え、ツールの組み合わせを決め、AIへの指示の出し方を身につけた。

しかし私が作りたいサービスはこれ一つではない。

目の前に7つのサービスが並んでいる。そしてそれぞれを韓国、日本、英語圏の三カ国に出さなければならない。7掛ける3は21。論理的には21回のローンチが必要だ。

この数字を初めて目にしたとき、正直、非現実的に感じた。一つ作るのにこれだけ時間がかかったのに、21個作ると?

しかしマスタープランをAIと一緒に立てながら、数字ほど非現実的ではないことが分かった。

核心は——最初のサービスを作りながら学んだことが、二つ目からは最初から適用されるということだ。

V2→V3リファクタリングで得た教訓が六つある。データベーステーブルの欠落、モジュール間インターフェースの不一致、ユーザーID不在、設定値のハードコーディング、認証設定の漏れ、環境変数の不一致。この六つは次のサービスを作るとき最初からチェックリストに入る。同じ失敗を二度する必要はない。

「管制塔+ビルダー」のワークフローもすでに確立された。新しいサービスを始めるたびにこの構造をそのまま使えばいい。

コストモデリングの方法論もある。AIモデル別トークン単価、言語別トークン倍率(日本語は英語の約2倍)、ユーザー数段階別コストシミュレーション。

これらを集めて「開発プレイブック」という文書を作った。新サービスを始めるときに従う手順書。Phase 0でコード一行書く前に7つの質問にまず答えよ、Phase 1で設計文書5種を作れ、Phase 2でコアモジュールから順番にビルドせよ。StackTubeを作りながら経験した失敗が、このプレイブックの素材だ。

マスタープラン文書は751行になった。AIと一緒に一日で書いた。7つのサービスそれぞれの定義、収益構造、技術スタック、コストシミュレーション、3カ国別差別化ポイント、ローンチ順序、キルクライテリア。

キルクライテリア——これはプロジェクトを中止する基準線だ。「12週以内にユーザー100人または月$200の収益に達しなければ → プロジェクト中止。」この基準を感情抜きで設定した。まだローンチもしていないサービスに中止基準を事前に定めるのは奇妙に見えるかもしれない。しかしこれを事前に定めなければ、失敗したプロジェクトに際限なく時間を注ぎ込むことになる。

AIにエージェントハーネス構造というものを適用できないかも聞いた。AIが自ら計画し、生成し、検証する三段階の自動化構造。管制塔が答えた。「可能ですが今は過剰です。ローンチ前に自動化を過度に構築すると、自動化のデバッグに時間を使うことになります。」

AIのこの助言を受け入れた。AIが「やるな」と言うとき聞くのもPMの役割だ。

振り返ると、この旅で学んだのはコーディングではなかった。

エラーは失敗ではなくヒントだ。計画はコードより先だ。AIは優秀な新人であって魔法使いではない。AIの答えが正しいかも自分が確認しなければならない。

そして時間が少なければ失敗する余裕も少ない。だから夜しか時間がない人はむしろ戦略的になる。

この旅の最初の成果物はStackTubeという名前を持つことになった。Stackは積み上げるという意味、TubeはYouTube。散らばった動画の知識を積み上げるパイプラインだ。第1話で私が望んでいたこと——「この二週間で私はこのテーマについて何を学んだ?」に答えるツール——がそれだ。

完璧ではない。デザインがAI製だと分かる。エラー処理がスムーズでない部分がある。しかしコア機能は動く。

作ったなら出さなければならない。完璧な製品よりローンチした製品の方がいい——という言葉はどこかでよく聞いたが、実際にローンチボタンを押すのは別の問題だ。

誰かが聞いた。「いつまでやるの?」

さあ、自分でも分からない。しかし毎晩9時にターミナルを開くたびに、昨日より少しだけマシになっていることを感じる。そしてそれは、なかなか悪くない進歩だと思う。


🔧 このエピソードの技術用語解説

MRR(Monthly Recurring Revenue) 毎月繰り返し入ってくる収益。サブスクリプションモデルの核心指標。

キルクライテリア(Kill Criteria) プロジェクトを中止する基準線。感情ではなく数字で事前に定める。事前に定めないと失敗プロジェクトに際限なく時間を注ぐことになる。

プレイブック(Playbook) 再利用可能な実行マニュアル。アメリカンフットボール由来の用語で、「この状況ではこうする」というルール集。

エージェントハーネス(Agent Harness) Planner(計画)→ Generator(生成)→ Evaluator(検証)で構成されるAI自動化構造。

トークン(Token、AIコスト文脈) AIがテキストを処理する最小単位。おおよそ日本語一文字が2〜3トークン、英語一単語が約1トークン。API料金は処理トークン数に比例する。

SSO(Single Sign-On) 一度ログインすれば複数のサービスすべてにアクセスできる仕組み。Googleアカウント一つでGmail、YouTube、Driveに同時ログインできるのと同じ。